会社を辞めるなら何月が良い?有給はどうする?

アーリリタイア

退職届さえ出せは会社は2週間で辞められる

会社を辞めることは簡単です。法律では退職する2週間前までに会社に退職届を提出すればいつでも辞められることになっています。

(社内規定で何か月前に伝えなけければならないなどと書いてあっても、法律が優先されます。)

ただしいつ辞めるかによってかなり金銭的な違いが出ます。
今回はどういう風に会社を辞めればスマートなのか考えてみる事にします。

会社を辞めるのに最もふさわしい時期

結論を先に書くと、退職に最もおすすめなのが上から順番に以下の通りです。

  1. 12月末(冬のボーナス支給月の月末)
  2. 3月末
  3. 夏のボーナス月の月末
  4. 有給付与月の月末

 

12月末退職が良い理由

辞めるのにもっともふさわしい時期はなんといっても12月末でしょう。

なぜなら税金や、社会保険料である国民年金、国民健康保険はすべて、1月1日から12月31日までを基準として計算されるためです。

12月31日に辞めてしまえば、次の年の1月1日からは給与所得はゼロという事になり、翌々年からは所得税、住民税、健康保険が所得ゼロとして計算されます。

これが年の途中で辞めてしまった場合は、所得税等が安くなるのをもう一年待つ必要があります。
ただしこれは退職した次の年にはどこからも給料を貰わず、貯金を取り崩したりして生活した場合です。

また、退職を機に専業主婦(夫)となり、配偶者の扶養家族になるという人もいるかもしれません。

その場合も、配偶者控除の所得基準は1月1日から12月31日までの所得となりますので、年末に辞めれば辞めた次の月から配偶者控除の適用になることが可能です。

ただし、これは税金上の扶養に入る場合です。

ほとんどの人は辞めた場合に失業保険の給付を受けるとおもいますが、失業保険の給付を受ける場合には注意が必要です。税金上の扶養は所得に入らないため、12末に辞めてしまえば、翌年の見込み年収は0円となって問題はありませんが、社会保障上の所得にはカウントされるため、失業保険の給付の終了を待って、扶養に入ることになります。以下のリンクが参考になります。

失業手当をもらうと扶養から外れる?税金上・社会保険上の取り扱い

 

更に付け加えると、12月は冬のボーナスが出る会社が多いため、それを待って辞めるという区切りでもあります。

12月に辞めるメリット
・翌々年の所得税、住民税がゼロとなる。(翌年の所得がない場合)
・辞めた次の月から配偶者控除を受ける事が可能。(失業給付を受けた場合は給付が終わって)
・冬のボーナスをもらって辞めることができる

 

3月末(年度末)退職が良い理由

諸事情により12月末がどうしても難しい人は、年度末(3月末)が候補になるかと思います。

これは年度の切り替えには組織改編があるためです。

年度末に辞める事を上司に伝えておけば組織改編時にあらかじめ織り込む事が出来るため、意外と慰留されずに辞めめられる可能性があります。

私の経験上も部下が年度の途中で辞めると言った場合は、年度末まで待ってくれと慰留しています。

組織の売り上げ計画などは、年度末まで今の人員がいる事が前提なので、途中で辞められると売り上げ計画が狂ってくるという事情もあり、特に年度が始まってすぐは慰留される可能性が高まります。

3月に辞めるメリット
組織改編や、新卒入社に重なり、比較的辞表が受理されやすい

 

夏のボーナス月退職が良い理由

次の辞める候補月は夏のボーナス月(一般に6月)です。

12末は、税金や社会保障費の〆の末尾である上冬のボーナスがあるので一番辞めるのに良いのですが、同じく夏のボーナス支給日の月はどうでしょうか?

ボーナスは、給料の後払いのと同じです。

したがってボーナス月前に辞めてしまうと後払いの給料が受け取れなくて損なのでと当然夏のボーナス支給日を待って月末でやめるというのも候補に挙がります。

気をつけたい事は、事務処理の関係上、ボーナス査定はボーナス月よりかなり前に査定がされています。

私の会社の例で恐縮ですが、私の会社では6月がボーナス支給月で、5月のゴールデンウィーク明けには査定が終わります。

当然辞めると言っている社員に厚くボーナスを出す理由は無いので、辞める意思を伝えるのはボーナス査定が終わってからが良いでしょう。

普段からそれとなくどのあたりにボーナス査定が終わるのか上司に探りを入れておきましょう。

以上が辞める適切な時期が 12月>3月>夏のボーナス月の月末となる理由です。

 

最後に4番目に挙げた「有給付与月の月末」がなぜふさわしいか、順を追って次章から説明します。

 

有給消化をどうするか

有給は従業員の権利ですので当然全部取得して辞めるべきでしょう。

有給は会社には時期を変更する権利はあっても、取得の拒否はできません。

辞める人は取得時期の変更はできませんので法的には取得を認めなければならない事になります。

 

ただ、一気に取得を申し出た場合、業務の都合上難色を示される事があります。
(よほどでないと拒否出来ませんので裁判で争えば勝てますが、裁判沙汰は双方面倒です。)

私の会社でも、管理職マニュアルで、従業員が退職前の有給消化を申し出たら、出来るだけ従業員を泣き落としでも何でもいいので説得して有給消化させないようしなさい。ただし命令して認めない事は違法なのであくまでお願いという範囲でやりなさいというマニュアルがあります。

マニュアルにも書かれてある通り、申請された有休を認めないのは違法行為になります。

ただ、会社も泣き落としや脅しを使って、なるべく有給の消化は阻止しようとするでしょうから、出来るだけ辞める前の年ぐらいから、仮病でも何でもいいので計画的に消化してあまり有給を残さないようにしましょう。

ついでに書くと、辞める時に一気に有給を消化されて引継ぎに支障をきたすのなら、そのような事態にならない様に計画的に有休を消化させることは会社の義務でもあります。労働者の義務ではありません。一気に有休を消化するなんて無責任じゃないの?と会社に言われたら、その点を主張してみるのもよいでしょう。

・本来は計画的に消化しておくのが揉めない秘訣(ただし計画的な有給消化は会社の義務)
・退職日が決まっている場合、有給の一気消化を会社は拒否できない

 

計画的有給消化が無理な場合、無職になる強みを生かす

とはいえ、仕事が忙しくなかなか計画的に有給をとれない場合がほとんどだと思います。

その場合は、実際に辞めたい月よりちょっと早めに退職希望月を言うという作戦が考えられます。

例えば有給が40日余っていて、12月末に辞めたい場合、素直に「12月末で辞めたい。ついては有給消化をさせてもらいたいので、11月からは有給消化で会社には来ません」と申し出たとしましょう。

上司は「引き継ぎが終わらない」だとか「客に迷惑がかかるので、最低限社会人のマナーとして半分は出てきてくれ。」だとか言って何としても有給を取らせない様にしてくるでしょう。

そこで強引に取得して辞めても良いのですが、なるべく円満退社したいと思いのが人情です。

そこで有給消化させてもらえない前提で、あえて有給休暇分早く退職時期を伝えるのです。

例えば、12月に辞めたくて、有給が40日ある場合は、逆算して「10月末に辞めたい。ついては、有給を消化したいので、9月からは有給消化で会社に来ません。」と伝えます。

そうした場合に上司が「引き継ぎが終わってない」とか、「客に迷惑が~」とか言い出したら、

「わかりました、じゃあ、10月末までは有給消化せず引き継ぎその他をやって会社にいますので退職時期を12月末に延ばして有給消化させてください。」

と伝えます。

会社を辞める人は大抵次が決まっていて、退職時期が先延ばしにできない事を知っていて上司は説得にかかってきます。

したがって「引き継ぎ等が全部終わって自分がいなくなっても大丈夫になってから辞めます。そのために退職時期がずれるのは全然かまいませんので有給は消化します。」と言われると認めざるを得なくなるでしょう。

ただしその場合どうしてもボーナス査定にかぶるころに辞意を伝えざるを得ない場合もありますので、ボーナスの査定が下がる可能性もあり、注意が必要です。

ポイント
希望より早めの退職時期伝え、有給消化を申し出る。
引き継ぎが終わらないからなどの難色を示されたら、退職時期を延長し、引継ぎ終了後に有給消化をして、退職する旨を伝える。

 

有給を効率的に取得するなら、有給の切り替え時期を狙う手もある

さて、なぜ退職時期の候補として有給切り替え月の月末がふさわしいか説明します。

たとえば、3月末で前々年度の有給の権利が消滅し、4月1日で新たに有給をが付与される会社の場合、以下の手順でやめるのが最も有休を使って辞めることができるパターンです。

4月末退社を申し出て、3月末までに、前年度、今年度の有給をすべて消化、4月に入ったら新年度の有給が付与されますので、それを全消化して辞める。

会社は嫌がると思いますが、有給は前年度の勤務状況に応じて新年度に付与される従業員の権利ですので、法律的には問題ありませんし、申し出られれば会社は認めざるを得ません。

毎年20日の有給が付与される会社で、年休を全く消化をしておらず、前年度、今年度合わせて40日の有給がある場合は、2月、3月、4月と給料をもらいながら、ほとんど会社に来ずに退職することが可能です。

 

有給は前年の実績で、次の年に付与される。そのため切り替え月が来たら、次年度分として全日数が付与される。
付与されたらその有給は全部消化して辞めることができる。
有給を全消化して辞めるなら切り替え月までに全消化し、翌年分が付与されたら全消化して辞めるのがベスト。

 

付与された有休の即時消化が問題ないとする法的根拠の、参考URLを載せておきます。

退職直前に付与された有給休暇は全て使えない!?|弁護士Q&A|LEGALUS(リーガラス)
5月末で退職します。一昨年の10月10日に入社して、4月10日に有給休暇が11日付与されています。上司に相談したところ、4月10日に付与された有給休暇については、すべては使えず、1年間の出勤した日数によって、算出するといわれました。

会社が退職の前倒しを依頼してきたら、解雇となりますので、交渉材料に

会社側が辞める前にボーナスを出したくないだとか、有給を取らせたくないだとかで、こちら側の希望する退職時期より早めに退職してもらえないだろうか?と言ってくることがあります。

実際に私の会社でも、意識の低い管理職が仕事の切れがいいという理由で、退職希望の社員に、「退職希望日より前に辞めてもらってもよいか?」と交渉している場面に遭遇したことがありました。

一刻も早く会社を辞めたいからと言ってこの話にうかつに乗ってはいけません。

こちらの希望時期よりも早く辞めてくれないか?ということは労働者が辞めたくないといっている時期に辞めさせるということなので解雇以外の何物でもありません。

以下のサイトが参考になります。リンク先の「日本の人事部」サイトは企業経営者が専門家に相談するサイトですので基本的には会社寄りの回答をしますが、そこでも専門家の見解は退職時期の前倒しは解雇相当です。

社員の希望する退職日より前に辞めさせたい|人事のQ&A『日本の人事部』
初めて投稿させて頂きます。 自己都合で6月末の退職を申し出ている社員がいますが、引継ぎ内容のボリュームや他従業員への影響を鑑み、本人が希望する6月末ではなく、早ければ今週末にでも...

よく考えればすぐにわかりますが、極端な話、2,3年後に定年退職を控えた社員に、「ちょっと(自己都合で)早く辞めてもらってもいいかな。」といった事が可能ということになってしまいます。

こういった場合、その要求は解雇の以来と同等の要求になる事を会社側にしっかりと伝えましょう。

そうした上で、もし本当に前倒に応じてもらいたいなら、少なくとも退職理由は「会社都合退職」として下さいと要求します。

会社都合退職なら、失業保険は退職後3か月と待たなくてもすぐに支給されますし、自己都合退職に比べて給付期間も長くなります。

また退職時期が近ければ解雇予告手当が出ることもあります。
(労働基準法20条により30日以内に退職させる場合は出さなければならない)

これらメリットと、前倒しに応じることにより失われるボーナス、有給などを天秤にかけて前倒しに応じたほうが得だとなれば、予定より早く退職するのもありです。

忘れてはいけないのは、会社から言い出した前倒し退職で「自己都合退職」になる場合はこちらに何のメリットもないので軽々しく応じてはだめだという事です。

法律的に解雇になるということを知らずに気軽に前倒ししてほしいと言ってくる会社もあるので要注意です。

会社から前倒しを依頼された場合それは解雇となる。
前倒しに応じる場合は、メリット、デメリットを天秤にかけ、手当や、「会社都合退職」としてもらう事など条件をきっちりと取り決める。

辞める日は必ず暦日の最終日

いままで退職月について述べてきましたが、最後に注意として辞める日付です。辞める日付は、必ず月末の最終暦日としましょう。

 

2月なら28日か、29日、4月、6月、9月、11月なら30日、それ以外の月なら31日です。

 

最終日が休日なので、その前の平日を退職日とさせてくれと会社が言ってきても相手にしてはいけません。

 

なぜなのか。

その理由は月の途中でやめた場合は、その辞めた月の国民年金、健康保険料を自分で払う必要があるためです。

会社と折半で払っている厚生年金や健康保険料は月単位で払う事になっており、その切り替え日は、辞めた日の翌日です。この切り替え日が属する日を資格喪失月といいます。

そして資格喪失月は自分で国民年金や、国民健康保険に入る必要があります。

12月末に会社を辞めるとして、「会社の出勤日は12月28日までだから、28日を退職日にしてほしい」と会社に言われて、それを受け入れたらどうなるでしょうか?

その場合資格喪失日は12月29日、資格喪失月は12月なります。

会社は12月分の厚生年金保険料の会社負担分、健康保険料の会社負担分を払わなくてよくなり、その代わりに辞めた人。つまり私たちが、12月分の国民年金、国民健康保険料を払う必要が出てくるのです。

これを暦日で月の最終日(12月31日)が退職日とした場合は、資格喪失月が次の月(1月)となり、12月の厚生年金と健康保険料は会社と折半で払えます。

これを知ってながら、「月の途中で辞めたら、その月の厚生年金保険料の雇用者負担分、健康保険料の故障者負担分を給料から引かなくて済むからその方がいいよね?」とさもお得なように言ってくることがありますので気を付けてください。

 

 

さいごに

色々と作戦を練っても、やはりお世話になった上司などに説得されれば慰留はしないまでも、時期の変更や、有給の未消化には応じてしまうかもしれません。

実際私は、部下が会社を辞めると言い出したり、その際に有給を全消化させろと言い出したりした場合は、誰の説得なら効果があるか考えて、その人に説得を頼んだりしています。

そうした場合、退職を踏みとどまらせるのは無理としても、時期の変更に応じてくれたり、有給消化を半分にしてくれたりと、ある程度の譲歩を引き出すことに成功しています。

最後はそいった義理人情の世界でもあるので、こういった知識を仕入れたうえで、あえて退職月にはこだわらないという辞め方もあるかも知れません。

 

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また、会社を辞めるにあたり資金面が心配になってきます。

今すぐに効果があるというものではありませんが、いつ会社を辞めても大丈夫な様に資金み蓄える事は大事です。

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