一般口座から特定口座に株や投資信託を移管する方法

投資活動

私が株式投信を始めた2000年頃は今の様に特定口座と言うものは存在せず、株式口座と言えば全て一般口座でした。

特定口座は確定申告時に、申告なしを選ぶことが出来なかったり不利な面が多いです。

一般口座から特定口座への株式、投資信託の移管は昔は出来たのですが既に出来なくなっており、口座内の株を売却しない限りは一般口座を持ち続けるしかありません。

今回はこの一般口座の株式を特定口座に移す少し裏技的な方法をご紹介したいと思います。

一般口座は国民健康保険料で損をする。

源泉徴収ありの特定口座を開設していた場合、売却益は取引の都度税金が差し引かれ、改めて確定申告をする必要はありません。(申告不要制度)

また損益通算をしたい場合には改めて確定申告をすることもでき、その場合は払いすぎた税金を取り戻すことができます。(申告分離課税)

それに対して一般口座は、取引の都度税金が差し引かれない代わりに必ず確定申告が必要となります。

余談ですが、源泉徴収なしの特定口座も税金が差し引かれず確定申告が必要となります。

一般口座との違いは、確定申告に必要な計算を特定口座は証券会社が年間取引報告書の形でまとめてくれますが、一般口座は取引の都度税金を計算し、年末に確定申告する必要がある点が異なります。

この源泉徴収ありの特定口座で使える申告不要制度が優れもので、申告不要制度を用いて納税を行った場合、納税はそこで完了で、その特定口座内で得た所得は、どこにもカウントされません。

所得にカウントされないことのどこが優れているかというと、本人の所得によって保険料が大きく異なる国民健康保険料が全く変わってくることです。

給与所得控除や、社会保険料控除など各種控除が使える所得税、住民税と異なり、国民健康保険の保険料は基礎控除の33万円しか使えません。

ということは、一般口座や、源泉徴収無しの特定口座を利用している人は、売買益や配当が33万円以上あった場合は、その利益に応じて国民健康保険の保険料が上がることになります。

対して源泉徴収ありの特定口座で申告不要制度を選択した場合は利益が何億円であろうとも国民健康保険の保険料は最低限だけで済むことになります。

国民健康保険の保険料は最高額が77万円ですのでこれは大きいです。

また、国民健康保険に入っていなくても、だれかの扶養家族として社会保険に入っている場合で被扶養者収入があまりに多くなると、扶養から外れて改めて国民健康保険に入る必要がでてきます。

申告不要制度を使えばその事を心配は一切する必要がありませんし、もし源泉徴収ありの特定口座を選んで税金が差し引かれてたとしても、損失が出た場合は、分離課税を選んで確定申告をすることもできます。

したがって特殊な事情がない限り、源泉徴収ありの特定口座を開設するのが無難といえます。

一般口座から特定口座に株式、投信は移動できない

そうなると特定口座の制度ができる前から一般口座で株式や投資信託を持っている場合、ぜひとも源泉徴収ありの特定口座に株式や、投資信託を移し替えておきたいということになります。

ということで、一般口座から特定口座へ証券を移動させることはできないのか調べてみました。

調べてみると、実は2009年5月25日までは経過措置として一般口座から特定口座へ移動させることができたことが分かりました。

一般口座から特定口座への残高振替えは5月25日まで | 楽天証券
楽天証券からのご案内などを一覧でご覧いただけます。商品・サービスに関するご案内から、取引ルールや制度の変更に関するご案内など、重要な情報をまとめております。内容を定期的にご確認ください。

しかし、今やこの方法は使えません。

私の場合、2009年当時、前段で挙げた特定口座の不利な部分を全く認識しておらず、気づいた時にはすでに手遅れでした。

移せない以上、一旦すべての証券を売却してから、同じ銘柄を特定口座で購入すれば実質移管したことと同じとなるのですが、利益が出ていた場合はそこで納税の必要がありますし、実際に2000年代から売却せずに保持している方は、結構な含み益があるのではないでしょうか?

贈与の場合は移管可能

一般口座で利益確定した場合、申告なし制度を使えないため、国民健康保険の保険料に多大な影響があるということに気づいてから、何とか特定口座に移管できないかと色々調べてみましたが、調べても出てくるのは一度作った口座を一般口座に変更する手続きだけで、移管の方法は出てきません。

ずいぶん昔にここまで調べて結局諦めていたのですが、もしかして移管はできなくても贈与の場合はできるのでは?とふと思いつき、私が一般口座を保持しているカブドットコム証券のカスタマーサービスにメールで以下の内容を問合せしてみました。

私は現在御社の一般口座で投資信託を保有しています。
このたびこの投資信託を、贈与税のかからない範囲で一部を妻に贈与したいと考えています。妻には、他の証券会社に口座はありますが、口座の種別は特定口座のみです。
この場合、贈与が可能かどうか教えてください。
贈与税のかからない範囲というのがポイントです。
せっかく特定口座に移管して、健康保険料の増大を回避しても贈与税がかかってしまえば元も子もありません。
ほどなくしてカスタマーサポートから以下のような返信がありました。
他社の証券口座への贈与移管で可能なパターンは下記となります。
一般口座→一般口座
特定口座→特定口座当社の証券口座間での贈与移管で可能なパターンは以下となります。
一般口座→一般口座
特定口座→特定口座
一般口座→特定口座通常特定口座がございますと一般口座も存在しているかとは存じます。(当社の場合)
他社で特定口座のみで一般口座がございません場合、または他社で追加で一般口座の開設が出来ない場合は、当社で特定口座を開設いただき、一般口座から一般口座へ、または一般口座から特定口座への贈与移管手続きを行うことになります。手続きは全て書類でのお手続となります。
投資信託の贈与移管に関わる書類はWEBでご請求できかねますのでどちらのパターンでの移管であるか確定しましたらサポートセンターへお電話にてご請求をお願いいたします。
またいずれの場合も、当社指定の書類と贈与契約書(お客さまにて作成いただきます)のご提出が必要となります。贈与契約書に記載いただく必要項目は下記となります。
・贈与者から受贈者への贈与契約を締結した旨の文言
・銘柄及び株数
・契約締結日
・贈与者、受贈者それぞれのご住所・お名前・ご捺印(スタンプ印不可)
※お名前は贈与者、受贈者それぞれの自署でお願いいたします。

また当社で一般口座→特定口座で贈与移管される場合には
上記のほか、取得証明書(取得日・取得価額を確認するため)の添付が必要となります。

まとめると、他社の特定口座に直接贈与することはできないが、カブドットコム証券内の口座であれば、一般口座から特定口座への贈与は可能との事!

そのために必要なのが、カブドットコム証券指定の書類贈与契約書、取得証明書の3つということになります。

これで少々裏技的ではありますが、一般口座から特定口座への移管(贈与という形で)の方法が分かりました。

実際の移管方法

登場人物が2人必要ですが、実際にどのように一般口座から特定口座へ移管させるか考えてみました。

分かりやすくするため、妻の特定口座を使って一般口座から特定口座に移管する方法を例にあげます。

  1. 妻にカブドットコム証券の特定口座を作ってもらう
  2. 贈与税のかからない範囲で私の一般口座の投資信託を贈与する旨の贈与契約書を作成する
  3. 株ドットコム証券に必要書類を提示し、私の一般口座から妻の特定口座へ投資信託を譲渡(移管)する
  4. 妻から私へ先ほどの譲渡した投資信託を再び贈与する贈与契約書を作成する
  5. 株ドットコム証券に必要書類を提示し、妻の特定口座から私の特定口座へ投資信託を譲渡(移管)する

贈与税がありますので、1年に一回しかやれませんが、何年かかけてチビチビと移管すれば、評価額が1億円とかある一般口座でない限りすべてを特定口座へ移すことは可能だと思います。(もちろん私の口座もそんなにありません。)

ちょっと引っかかるのは、同じ年に反対方向への譲渡をして問題ないのかどうかですが、差し当たって問題になるような事項は思い当たりません。(実践される人はあくまで自己責任でお願いします)

もう少し考えて問題ないとなれば実践してみたいと思っています。

この方法の注意事項

この方法に限った話ではありませんが、贈与税がかかる額、例えば1000万円を10年かけて相手に贈与しようと計画して、100万円づつ10年かけて贈与すると、最初に1000万の贈与を計画していたとみなされて、「定期贈与」とされ、贈与税の対象となります。

※国税庁のQAを引用しておきます。

No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

Q.親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか?

A.定期金給付契約に基づくものではなく、毎年贈与契約を結び、それに基づき毎年贈与が行われ、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。
ただし、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。
なお、その贈与者からの贈与について相続時精算課税を選択している場合には、贈与税がかかるか否かにかかわらず申告が必要です。(相法21の5、24、措法70の2の4、相基通24-1)

つまり、最初から計画的にまとまった額全部を贈与しようと考えて贈与するのはダメというわけです。

これを回避する方法はいろいろとありますが、その一つが、毎年の贈与をわざと非課税の110万円より少し多めにして、毎年少しだけ贈与税の申告と納税を済ませておくというものがあります。

どのぐらいまで効果があるのか不明ですが、少なくとも贈与があったことを税務署は毎年把握しているわけで、この贈与が過去にさかのぼって無効とは税務署も言いにくいのではないでしょうか。

心配なこと

わたしは心配性のですので、この方法で一般口座から特定口座に投資信託を映した場合に、最終的に私の特定口座にすべての投資信託が戻ってきた後で、税務署に私から妻への贈与は定期贈与なので贈与税の課税対象、また、妻から私への贈与も、定期贈与なので課税対象といわれる事です。

そうした場合、ただ単に健康保険料を払いたくないがために、自分の投資信託を私と妻の間で一往復させただけで、贈与税を2重に支払わなければならない羽目に陥るのではないかという心配があります。

この点だけが今ももやもやしているのですが、もしこの点について、ご存知の方はコメント欄等で教えていただけないでしょうか。

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