インデックス投資クラスタでの常識、生活防衛資金
生活防衛資金とういう考え方は、木村剛氏の著書「投資戦略の発想法」で初出の概念です。
この本の中で木村氏は、職を失うというリスクに備えるための資金として生活防衛資金をポートフォリオととは別に用意しておく事を推奨し、以下のように述べています。
そういう意味では、まず、二年間今までの生活水準を落とさずに生活して行けるだけの資金 を準備しておかなければいけないわけです。いざ会社がつぶれても枕を高くして寝られる安 心感を確保するためにこれば絶対に必要なおカネです。
おそらくこの本の影響で、生活防衛資金を用意しておくというインデックス投資ブロガーはたくさんいますが、それの解釈はまちまちで大体以下のようなタイプに分かれるのではないでしょうか?
- 2年間の生活費をポートフォリオとは別に用意しておく
--生活防衛資金原理主義 - ポートフォリオの現金クラスが2年間の生活費を超えていれば、現金として手元にあるのだから、別に取っておく必要は無い。
--ポートフォリオ組み入れ主義 - ポートフォリオから除外するが、そもそも生活防衛資金は2年間分もいらない
--生活防衛資金自由主義 - ある程度の現金があり、当面生活に困らないなら不要
ーー生活防衛資金楽観主義
原理主義から楽観主義へ
木村剛氏の本は2001年発行で私の手元の本は2001年6月の第6刷。
この本を手に入れた経緯は覚えていませんが、当時アマゾンジャパンはギリギリ存在せず、会社の独身寮の近くの個人書店で偶然手にとった思います。
当時アメリカのデイトレーダーがニュースになり、それのまね事でをして、もろに1999年から2000年にかけてのITバブル崩壊で痛い目を見た私は、この本に大いに感銘を受けました。
そしてそこから5年間は2年分の生活防衛資金を貯めるため、投資に一切手を出さず、2005年頃の日本でもようやくインデックスファンドの環境が出始めた頃に投資を始めました。
そしてそこから早12年。
途中リーマンショックをはさみましたが、概ね成績は良好、あの本に出会った事を感謝するとともに、そろそろ生活防衛資金を見なおしてもいいのではないかと思っています。
「投資戦略の発想法」と本の題名にもあるように、投資の初心者が発想法を得るにはとても良い本です。しかし初心者向けに少し安全サイドに倒しすぎなところがありますので、生活防衛資金を2年間の生活費と杓子定規に解釈するのをやめ、意味的な解釈である二年間生活水準を維持できれば良いということに重きを置いて考えようと思います。
そう考えた場合、2年間は無職でも大丈夫という目算があれば生活防衛資金は不要なわけです。
私の場合、
- 夫婦共働きで同じぐらいの給与水準、片方が無職になっても、1人分の稼ぎで生活が可能
- 懲戒解雇にでもならない限り、2年分の生活費以上の退職金が出る。
- 妻の職業は絶対に首にならない職業
の3点から生活防衛資金は不要との考えにいたりました。
また、各インデックス投資ブロガーのみなさんも、原理主義的に2年間の生活費を用意している人は少なく、個々の状況に合わせて現金ポジションを用意されている事も判断の後押しとなっています。
また、一般的にサラリーマンでインデックス投資を始めようかと思っている人、もうすでに始めているというようなクラスの人は、退職金で2年間の生活費が賄えるという人も多く、その場合もポートフォリオとは別に生活防衛資金を用意する必要は無いのではないでしょうか。
なぜ今頃こんな事を言い出したかというと、東証マネ部の以下の記事を読んだからです。
この記事を読んで思ったのはybさんと私の境遇、インデックス投資を始めた時期まで非常によく似てます。
しかしybさんはすでに億り人、一方、私はまだ億ってない。違いは何かというと、やはり現金ポジションの差。素直な感想としてやはり、億の資産を築く人はどこか尖った所があるなという事でした。
そして改めて自分のポートフォリオを見なおしてみるとやはり現金ポジションが多いように感じるし、せっかく生活防衛資金をとっておいたのだから、無駄にキャッシュを積み上げず、生活防衛資金以外はすべて投資に回しても良かったな。そうすりゃ私も今頃は・・・・と思ったた次第です。
実際の行動は
じゃあ、実際の行動はどうするかですが、当面は何もしません。
なんじゃそりゃと思われるかもしれれませんが、2年間の生活防衛資金を別枠で取っておくという考え方を改めたのみで、現在積み上がったキャッシュポジションの投資先があるかというと現状はありません。それに人の投資スタイルを見て、あせって自分の投資スタイルを変えるのはなんだか死亡フラグな気がします。
インデックス投資において、いつ投資するかはあまり重要ではなく、むしろ投資する場合はすぐに投資した方が良いという事はわかっているのですが、自分のリスク許容度を見極めつつ、徐々にキャッシュポジションを減らしていく予定です。
コメント
私もサラリーマンに生活防衛資金は不要だと考えていますが、私は生活防衛資金を確保しています。何かあった方が安心できるというのと、記事内容のように投資先が現在見当たらないからですね。
コメントありがとうございます。
首になっても2年間は、大丈夫なようにという意味で、退職金があるから生活防衛資金は不要という結論を書きましたが、記事を書いた後、首以外にまとまった現金が必要な時、例えば親が突然倒れて、医療費がかかるや、病気になって手術費がかかるなどが抜けた考えだったかとも思っています。
ただ、その辺を考えても、現金ポジションがある程度あると、生活防衛資金は不要との考えは変わりませんが。