人生のオプション価格

エッセイ
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サラリーマン債券という考え方

ずいぶん前の橘玲氏の著作の中に、サラリーマン債券という考え方がありました。

ざっとした内容を説明すると、サラリーマンは月々一定の給料をもらって、退職時には退職金を満額受け取る。

したがって、サラリーマンの人生は債券に例えることができ、株式のようにいきなりゼロ円になることもなければ、10倍、20倍になることもない。

勤務先が倒産することや、自分が働けなくなることがリスクで、それは債券でいうところのデフォルトに当たる。

こういった内容だったと思います。

これ、すこし変なたとえ話で、債券は一度買ってしまえば寝ていても利子が払われますが、サラリーマンは自分が会社に行って働かなければ、1銭も入ってこないわけです(休日や有休は除外)

そういった点で、やはりサラリーマンは労働者以外の何物でもなく、日々入ってくるサラリーも、労働の対価、退職金は給料の後払い以外の何物でもないともいます。

そういった点は重々承知で、本日はちょっとした思考実験をしてみたいと思います。

オプションとは

金融派生商品にオプションという物があります。

ご存知の方には説明はいらないと思いますが、日経平均のオプションを例にとると、日経平均を未来のある時期に決められた価格で買う権利をコールオプション、売る権利をプットオプションといいます。

プットオプション、コールオプションにはそれぞれ売り方、買い方がいて、プットオプションを買った場合、決済日が来れば、日経平均をその値段で売ることができ、コールオプションはその値段で買うことができます。

例えば、20000円の日経平均プットオプションは決済日に日経平均が20000円以下なら20000円で日経平均をプットオプションの売り方に売ることができますので、その差額が利益になります。

20000円のコールオプションであれば決済日の日経平均が20000円以上であれば、20000円でコールオプションの売り方から買うことができますので、その差額が利益です。

決済日の日経平均の価格が思惑とは逆に動いて、プットなのに20000円以上、コールなのに20000以下になってしまえば、オプションは権利なので、権利放棄ができます。

その場合はプットオプションの売り方が、プットの値段分だけ利益を得ることになります。

オプションの説明が終わったところで本題です。

人生のオプション価格

わたしはずいぶん前からサラリーマンを辞める辞めると言っていまだに辞めてないわけです。

辞める辞めるといってる奴ほど辞めないんだよなぁ。という悪口も聞こえてきますが、人生の選択肢は多いに越したことはなく、なるべくぎりぎりまでその選択肢を持ち続けていたいと思っています。

日本の労働者は労働三法によって過剰なまでに保護されていますので、自分から辞めるといわない限り、会社側から辞めさせることはほぼ不可能です。

したがって辞めるか辞めないかのを選択する権利は労働者側にありますので、これは一種の会社に居続けることができるオプションを買ってるのと同じでないのかと思います。

それがプットかコールかはわかりませんが。

 

サラリーマンは定年がありますので、定年時が決済日です。

オプション料は、我慢して労働するというその我慢の部分ですかね。

労働の対価は給料という形でもらってるので、我慢料の部分がオプションの価格です。

ただ、このオプション、定年時はかならず権利行使価格と、対象指数の価格がが一致するので、決済日にはオプション価格が0になりますが。

我々サラリーマンは定年までこのオプションを持ち続けたほうが得なのか、はたまた権利放棄して会社を辞めたほうがお得なのか、我慢料を払って考え続けます。

オプションに価値を見出している間は、私は会社に居続けます。

コメント

  1. 寿命や健康不良が誰にもわからないので何がお得なのかは判断しにくいですね。

    セミリタイアした人はもっと早くしておけば良かったという意見が多いですが、「時間の有限性」を肌身に感じたことがある人が多いのかな?と感じます。

    何が得なのかはさておき、「今」に満足できる人生にしたいなと思います。

    • セミリタイアという生き方は、日本ではまだまだ最後まで実践した人がいないというのと、失敗したと思う人はあまりそのことを外で言わないため、早くしておけばよかったという意見が大半なのでしょうね。
      いずれにせよ人の意見に左右されずに決めないと辞めても辞めなくても後悔することになると思っています。