実家の片づけ ~究極の断捨理のやり方~

実家の片づけ問題

初めに断っておきます。

今回のエントリは特に役立つ情報はありません。

日曜の夜にこれを書いているので特に頭を使わなくてもかけるものということでいわゆる雑談です。

時間を無駄にしたくない方はページを閉じてください。

さて本題。

よく相続問題などに関連して、実家の片づけが話題になります。

両親を見送った後に実家を相続した築年数も古家を処分したい。

しかし、両親がため込んだ思い出の品、(大抵は相続した子供にとってもそうであることが多い)が山のようにあるが、当然他人にとってはガラクタなので、引き取り手もいないし処分費もかかるし途方に暮れているといったような内容です。

あちこちのWEB相談などでは大抵は両親が存命のうちにいらないと思えるものは親と話し合って少しずつ処分しましょうという、それができれば苦労はしないという回答が多い問題です。

私(パンダック)の場合

あれは2011年の夏のこと。

その当時私は地元では結構有名なイベントを見に行くため、実家に帰省することにして、その帰りの新幹線の中にいました。

7年前のことなので細かいことは覚えていないのですが、座席でうとうとしていると今は亡き父から携帯に電話がかかってきました。

要件がなければ絶対に電話をかけてこない父なので、何だろうと思って電話でました。

父:「おい、○○(私の名前)。お前、今日家に来ても泊る所がないぞ」

私:「はい?、今日帰るって伝えてあるよね?、お客さんでも来た?」

父:「家が燃えた。全焼や。」

私:「えーーーーーっ!!

あまりに想定外の言葉。

なのに、冷静な父。

何が何だかわかりません。

父:「そんなわけで、今日家に来られても泊るところがない。悪いが、別のところを探すか、そのまま帰ってくれ。」

いやいやいや。家が燃えたからといって、はいそうですかと別の宿を探したり、そのまま帰ったりする子供はいないでしょう。

私:「母は?母は無事?」

父:「ああ、けが人はいない。お母さんも無事だ。」

私:「とりあえず、予定通り行くから!」

父:「あ、携帯の充電器も燃えたら、電池がもったいない。切るぞ。」(ブツッ)

私:「ちょっ・・」

充電器も燃えたため、今後はあちこちに連絡することを考えて、電話を切ったんだと思いますが聞きたいこともあまり聞けずに電話を切られてしまいました。

とりあえず怪我人はいないということで一安心したのですが、その次に私が心配したのは、隣近所に延焼していないかと言うことと、火事の原因は何なのかということです。

火事は隣近所に燃え広がった場合は賠償の責任がないことは知っていましたが、法律上はそうでも、道義上はそうはいかないでしょう。

狭い田舎のことなので、火事を出して隣近所に燃え広がったとなれば何を言われるかわからず、最悪は夜逃げ同然で引っ越さなければならなくなるのではと色々考えてしまいました。

もう一つの心配は火事の原因が母の火の不始末だった場合、責任感の強い母はずっと気に病むのではないかということです。

とにかく電池が持たないと言って電話を切られた以上、こっちから掛けなおすわけにもいきません。

新幹線に乗っている間は気が気ではありませんでした。

実家についてみると

私の実家は最寄駅から徒歩3分で、駅から実家が見える位置なのですが、電車の窓からも煙が上がってるのが見えました。

あー、やっぱり本当だったのね。

父の茶目っ気のある冗談だったらよかったのですが、どうやらその線はなさそうです。

駅から降りて、すごい勢いで実家の場所まで戻りました。

野次馬でいっぱいかと思いましたが、火はほとんど消し止められており、見物と思われる人は、数人でした。

家は見るも無残に焼け落ちていましたが、どうやら心配した延焼はなく、裏の家は、プラスチックの雨どいは熱で溶けて垂れ下がっておりましたが、それ以外には目立った変化はなく、無事。

両隣は結構な屋敷ですので、家と家が離れておりこれも無事。

とりあえず、近所の家を燃やすという最悪の事態は免れているようです。

ほっとしながら家の敷地の中へ入ると、警察と消防に囲まれて事情を聴かれている父がいました。

母はその隣で心配そうにしています。

私:「お父さん!」

父:「おお、来たか。ちょっと事情聴取が終わるまで待っとって。」

父は手が離せそうにないので、その隣で心配げに家を見上げる母と先に話をすることにしました。

母:「よう来てくれた。お父さんと買い物に出かけてたら、近所の人から電話があって、家が火事と知られてくれたんよ。急いで戻ってきたら、もう手が付けられんぐらい燃え広がっててね・・」

どうやら、買い物で家を空けているときに燃えたので、2人とも無事だったようです。

私:「火事の原因はなんなの?」

母:「わからんけど、買い物に出る前にお父さんが、タバコの灰で座布団を焦がしてね。最初そのあたりから火が出てたらしいから、お父さんのタバコじゃないかしら。」

どうやら、私の心配していた最悪の事態の2つ、延焼と、火元が母という事は避けられたようです。

母といろいろ話していると、事情聴取を終えた父が、私たちのもとに戻ってきました。

私:「おとうさん。」

そう声をかけると、父はかしこまってこう言いました。

父:「火事の原因ですが、わたくしのタバコの火の不始末と断定されました!!」

全く落ち込んでいる様子はありません。

父は私と違って前向きな性格で、やっちまったことは仕方ないと全く後悔しないタイプですが、ここまでとはその時まで思いませんでした。

綿を焦がした時は気を付けよう

どうやら、買い物に出かける前にタバコを吸っていた父は、その灰を座布団の上に落として座布団を焦がしてしまった。

そのことに気づいた父はコップの水を座布団にかけて火を消したつもりだったのですが、実は完全には消えておらず、それが再着火して火元になったという事です。

あとで叔父から聞いた話ですが、叔父も昔同じように座布団を焦がしたが、念には念を入れて焦げた座布団を水の入った桶に入れて置いたら、朝になってその座布団が半分ぐらい燃えていたとの事。

つまり綿に着火した火はちょっと水をかけたぐらいでは一度消えたように見えてもずっとくすぶり続けて火事の原因となります。

無炎延焼というもので、実家の場合もこれに該当するのでしょう。

綿を焦がしたときは消えたように見えても油断せず水につけておくなどの対策が必要です。

堺市消防局「無炎燃焼の再現 座布団燃焼実験」

実家再建

さて、実家の方ですが家が燃えた直後はほんとに身の回りの品だけでしたが、幸い買い物に出かけていた時の罹災でしたので、財布やカードは持っており、当面の生活用品は揃えることができました。

住む所がなくなった訳ですが、これは市役所に行って火事にあったことを報告すれば、市が市営住宅の空き部屋と、身の回りの品などを支給してくれるようです。(幸いにもその日のうちに近所の人が自分の経営している賃貸の一室を格安で父に貸してくれることになり、市営住宅は使うことがありませんでした。)

そして火災保険の請求には先ほどの市役所か消防署(自治体によって異なるようです)で罹災証明書を発行してもらい、これを使って保険会社に請求します。

父は運が強いというかなんというか、自宅の火災保険とは別に数週間前に農協が主催する旅行に参加しており、そこでお付き合いで更に上乗せで損害保険に入ったとの事。

この2つの保険金総額を合わせると、築40年超の木造住宅の評価額を超え家を再建して余りある保険金が出ることになりました。

私の里帰り期間はそれら各方面の手続きで駆けずり回ってつぶれてしまいましたが、火災保険の請求という一生のうちで一度有るか無いかの貴重な経験をさせてもらいました。

母は、貰った保険金を最低限の自宅再建だけに使って、そのお金を老後のためにとって置いたらと思っていたそうですが、父は、「老後は今だ。」とばかりに、これまた知り合いの工務店に頼んで、立派な注文一戸建て住宅を半年かけて再建したのでした。

どうやら、工務店の人の言われるままに建材や仕様も奮発したみたいで、再建された実家の写真がその工務店のホームページに当社施工例として今でも掲載されています。

家族の思い出の品は火事ですべて丸焼けになってしまいましたが、いるいらないの選別をする暇もなく、一瞬で断捨離ができて、築浅注文住宅が残ったわけですから、我が家の実家の片づけ問題は思わぬ形で片付いたのでした。

その後、父は5年とその家に住まずに亡くなってしまうのですが、火事の後「俺は、金輪際タバコは吸わん。」と言いつつ隠れて煙草を吸い、新築の家の網戸を焦がして母に怒られていたのが今ではいい思い出です。

 

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